中古マンション売却にはコツがあります


様々な不動産コンサルタントが記事を書いていますよね。

多くは「内見時は部屋を綺麗に掃除しておくこと」とか「物件概要書をカッコよく見せろ」など・・・

それぞれ正解で間違った記事はほとんど見かけません。

そこで今回は元・不動産業者社長でもある不動産鑑定士の私が見た中古マンション売却のコツをお話します。

「売れる時期に売る」ということが最も重要な鉄則


中古マンション売却の鉄則は「売れる時期に売ること」です。

他の記事でも良く「ストーブ」のたとえ話を使うのですが、石油ストーブを真夏に売り出しても売れません。

山岳の別荘は例外だとしても「寒い」という理由があるから「ストーブ」が売れることは皆さんもわかるでしょう。

中古マンションの売却にもこれと全く同じことが当てはまるのです。

中古マンションが「欲しい」と思う需要者=買い手が増える時期は毎年ほぼ決まっています。

マンションに限らず一戸建を含めた自己使用の物件は、4月の転勤先での勤務開始、子供の学区変更での新入学、転校などのタイミングに合わせ、1月の正月ムードが抜けた15日過ぎから3月中旬位が一年中で最も需要者が市場に参入する時期です。

しかも4月から勤務・登校開始ですから、その前には入居まで完了するつもりで物件を探します。

いい物件は買い手が何人も申し込んだ結果、表示価格を上回ってでも購入するケースもある位なのです。(「買い上がり」といいます)

一年間で最も物件が動く時期は4月前までの時期ですが、もう一回のヤマは9月頃から11月末頃までです。

同じく秋の辞令交付での転勤が主な引っ越し原因となり、年末年始ムードに入る前まで売買市場が活発に動きます。

このように、需要者が売買市場に多く参入する時期に売り出すことが中古マンション売却における最大の鉄則です。

「売れる価格で売る」=価格設定がスムーズな売却のコツになる


「売れる時期に売る」鉄則に次に大切なコツは「売れる価格で売る」ことです。

中古マンションに限らず土地戸建の売買でも「安く売ろう」と考える売主はいないはずです。少しでも高く売りたいと思うのが当然の心理だと思います。

しかし、現在流行りの一括査定サイトで極端な最高値を付けた業者に売却依頼すると十中八九売れません。

提示された金額が売れるであろう価格=想定売却価格を遥かどころか大幅に上回る価格を提示していますから当然のことです。

私は良く「高嶺の花」ならぬ「高値の華」だと呼んでいます。

こうならないためにも想定売却価格より少し高めの価格設定にすることが逆にスムーズな売却のために重要なことなのです。

「売れる価格で売る」

当たり前の理屈は分かっているのに「高く売りたい」気持ちが価格設定を誤らせるのです。

「地域を知り尽くした業者」に任せることが必修条件


中古マンションを売却する個人は普通、売買仲介業者に依頼します。従って任せる業者によって売却活動がスムーズに進むか?いつまで経っても売れないのか?大きな分かれ道と言うことが言えます。

多くのブログで
「信頼できる大手業者」
「宣伝広告に力を入れてくれる業者」
「コミュニケーションがスムーズに取れる担当者」

など、選択する際に気を付ける点が述べられています。

私もこの3つは全て同じ意見です。

しかし、業者選択にあたり私が最も強く皆さんに伝えたいことがあります。

それは「地域を知り尽くした業者に依頼すること」です。

インターネットが日常生活の一部となった今、IT系から出発した新興不動産業者が多く起業しています。

彼らは独自のデーターベースを持ち、Google Mapと連動させたりして、机上査定が敏速にできるようなシステムを作り上げています。

首都圏に関する限り、Google Mapのストリートビューとこうしたシステムがあれば現地に行かなくても査定が可能ですし、マンションはGoogle Mapのストリートビューがないような僻地でなく都市部に建っているので「全国どこでも対応可能」が謳えます。

しかし、果たしてそれでいいのでしょうか?

不動産業界は「地域密着」と良く言われます。
IT化が進んだ今でも扱う人間の脳はアナログのままです。

全国、例えば東京都世田谷区南烏山の中古マンションの相場やトレンドと、大阪市中央区南船場のワンルームマンション相場とトレンドが同時にすぐわかるでしょうか?

確かにデーターを見れば数字で把握することは可能でしょう。

しかし、ジカに取引した時にわかる顧客層や売れ筋、地域の売れ行きや売れるサイズ・間取りなど詳細な事柄はデーターベースに全て載せることはできません。

私は「地域に密着した業者」に依頼することをお勧めします。

大手業者であれば地元の支店・営業センターなら異動で定期的に人が入れ替わるにせよ、エリアの学区や学校の人気度、付近の商業施設や利便施設の状態など、机の上のモニターやスマホで見た情報でなく、自分の目で見て感じた「生きた情報」を持っているものです。

昔、私の大学OBで公安調査庁の対米担当だったBIPが言っていた言葉があります。

「単なる『情報』は『インフォメーション』だ。それに対し『生きた生の情報』が『インテリジェンス』なんだ

データーベースで情報を見て分かった気になっている業者は「インフォメーション」を見たにすぎません。

「インテリジェンス」を持った業者は、売却しようとする中古マンションが存する地域に根差した地場密着の業者です。

「長期在庫」化しないうちに売り切ってしまうのがコツ


中古マンションに限らず物件の売却時に業者と締結する媒介契約は3か月間が一区切りです。

「高値受け」してしまった売主はこの更新時点で「売れませんでした」「反応がありません」などと結局価格変更を交渉されます。

つまり3か月間「高値の花」でムダに時間をドブに捨てるのと同じです。

もちろん売主側の心理は「急ぎません」「安く売り急ぐ気はありません」が当然です。

首都圏に関する限り、値段が安ければヘタをすると売り出した即日に買い付け=購入申込書が届きますし、場合によっては業者のストック客でREINS掲載前に売れてしまうことだってあり得ます。

ゆえに「安売り」する必要は決してありませんが、相場を逸脱した「高値の花」化させるとロクなことはありません。

物件が市場にデビューすると、毎日REINSを見ている業者は無論の事、スーモやアットホームなど住宅情報のポータルサイトを皿のように見ているエンドユーザーも必ず見ています。

その状況下で半年、極端な例で言うと一年間ずっとチョビチョビと価格変更しながら売れ残った物件を見たら、あなたはどう感じますか?

私はヤフオクでカメラカテゴリーをずっと見ていますが、あちらは一週間が一区切りなので、

標準的落札相場が28,000円のストロボがあったとして、「新品同様」「極上品」だからと40,000円で設定している商品には誰も手を付けません。

で、一週間後に入札者無しで再出品となり、それをネバー・ギブアップで3度、4度、と繰り返していると誰も見向きもしなくなり「ああ、まだ売ってるのか」と思います。

これを32,000円程度まで下げたら価格交渉が入るかもしれませんよね。

中古マンションはこのストロボから見れば1,000倍の価格水準ですが、人間の心理は同じです。

長期在庫品は売主の印象を悪くするだけなのです。

「どうせ値引きに応じてくれないだろう」
「交渉して断られると気分悪いからやめておこう」

そうやって買主は勝手に身を引いてしまいます。
言葉を変えれば、売主自ら「売れなくしている」ようなものです。

中古マンションをスムーズかつ少しでも高めに売ろうと思ったら、想定売却価格より少し高めの設定位に価格設定することが中古マンションを売るコツだと言えます。


いかがですか?
中古マンションに限らず一戸建ても同じことが言えるのですが、物件を売る「コツ」は買主の心理と需要に合わせることなのです。

「売れる時期に売る」「売れる価格で売る」のも買主心理に従った売り方ですし、その売却を任せるのは「地域を知り尽くした業者」が最も最適戦略を考えてくれるはずですし、同じマンションを探すストック客を持っていることも多いのです。

更には「長期在庫化」させず、買主が目を向ける価格で交渉する土俵に乗って貰わなければ売却は長期戦の泥沼になってしまうわけです。

著者:神林勝利
不動産鑑定士_神林さん
不動産鑑定士・宅建取引士。1966年生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。野村不動産(株)流通営業部(現・野村不動産アーバンネット株式会社)のリテール向け売買仲介営業マンから不動産鑑定士に転身。独立後約10年間法人経営者として宅建業・鑑定業を営む。法人の営業譲渡後「神林不動産鑑定士事務所」代表として執筆活動や不動産コンサルタントを行っている。