マンション売却は市場動向に従うことが最大の基本法則である


マンションを売却するのはいつ頃がいいのでしょうか?

「売りたい時が売り出し時期」

それはそれで間違ってはいません。

しかし、売り出す時期が4月末のゴールデンウイークだとしたらどうでしょうか?

年末年始も同じですが、顧客が休暇で国内や海外旅行に出掛ける時期は不動産市場も動きません

そこに需要と供給のバランスが働きます。

では、いつ売り出せばいいのか?
いくつかのポイントを纏めてみました。

需要者が最も増える1月後半から3月末頃がベストタイミング


マンション売却は不動産市場の需要と供給のバランスに合わせて売り出す事が重要です。

不動産業者に「最も物件が動く時期」を質問すればほぼ一致した答えが返って来るでしょう。

マンションだけでなく土地・戸建を含む居住用物件が一年で一番動く時期は、

1月の正月休みが終わり、法人がほぼ通常モードに戻る1月中旬以降から、4月の転勤、新入社・新入学の時期に入居完了を意識した3月の後半までです。

転勤の辞令が下りた後、4月から新たな職場で勤務開始するとしたら入居まで済ませる必要があります。

また、子供がいる場合、学区移転の都合などから同様に4月の段階で入居まで済ませなければ仮住まいが必要になってしまいます。

こうしたことから一年間で最も不動産市場が動く時期は1月末から3月末頃までになるのです。

次に動く時期は、夏休みが終わった9月から、年末年始モードに入る12月の上旬前後です。

これも同じく転勤のタイミングが関係します。

逆に動かない時期は、ゴールデンウイークから夏休みまでの間と、年末年始です。

年中無休の業者以外、年末年始と夏休みのお盆だけは休業の紙を店舗に貼っている業者がほとんどです。

マンション売却に当たっては、この不動産市場の動向を押さえておくことが大変重要です。

今回は時期について説明していますが、高めに売りたい場合も「最も動く時期」に売り出すことでチャンスを掴む可能性が大きくなると言えます。

例えばストーブを考えて下さい。

家電量販店だけでなくホームセンターでもストーブが店頭にズラリと並ぶのは冬です。

当然ですが、ストーブは寒さを凌ぐための器具ですので、寒い冬には売れますが、

気温が30度を超える真夏に買う人は特別な環境にいる人以外、ほぼ皆無でしょう。

但し、冬に備えて

「価格が激安だったら買ってもいい」

そういう人はいると思います。

マンション売却でも原理は全く同じです。

物件が動かない時期に売り出すと価格を下げても買主の引き合いがないこともあり得ます。

一年中を通して買ってくれるとすれば、事業として物件を買い取り、転売を繰り返さねばならないリノベーション業者だけでしょう。

但し、彼らは事業の仕入れですから一般の成約価格よりずっと安価でしか購入しません。

このように、市場に買主が最も多く存在する時期を把握しておくことがマンション売却では大変重要です。

売り出し期間は長引かさず最初の3か月で売り切るのがベスト


マンション売却にかかる期間はどの位が理想的なのでしょうか?

売主の心理として「安売りはしたくない」「急ぐ必要はない」という前提は必ずあるはずです。

私も決して「早く売りましょう」「チャンスがあればすぐ応じましょう」と言うつもりはありません。

しかし、これまで高目に売却できた売主のほとんどが3か月以内に売却を完了しています。

これはどうしてなのでしょうか?

逆の話を考えて下さい。
仮に私の査定で鑑定士的には3,500万円、不動産業者社長的には3400万~3,600万の間が成約水準のマンションがあるとします。

(不動産鑑定は価格を「決定」するので一つしかありませんが、業者の無料査定書は「レンジ=幅」を持たせています)

これに対し、4,300万円で売り出したとしたら、明らかに「高い」と認識されます。

大規模マンションの場合、同じマンション内で売り出し物件があると一際目立ちます。

私は個人的にこれを「チャレンジ価格」と呼んでいますが、絶対にお勧めしません。

業者がREINS(=レインズ=不動産適正取引推進機構のオンライン)を毎日見ているのと同じく、

買主は大手ポータルサイトの「スーモ」「アットホーム」等を毎日必ず見ています。

しかも買主は「どうしてもこのマンションの中で探す」という人以外、他の物件と価格や設備、条件などを比較しながら物件情報を見ています。

極端に高い価格で出すと、業者はプロですから

「売主さんは価格交渉が難しいですか?」

そう、媒介業者に問い合わせすると思いますが、一般の買主は

「全然話を聞いてくれそうもない」
「無駄だから内見もやめておこう」

そう考えて引いてしまうのです。

その結果、最初の3か月間で問い合わせは数件あったとしても、内見もなく過ぎてしまったケースをかなりの数見てきました。

こうした「チャレンジ価格」を提示している売主の多くが無料一括査定の「高値受け」に乗ってしまった方です。

売主は一円でも高く売りたいので、最も高い査定価格が「最も物件を高く評価してくれた」と思い込んでしまうのです。

実際は全業者が同じ資料を見て査定していますから、想定売却価格はそう大きくズレることはありません。

極端に高い査定価格は売主の関心を引いて媒介契約を取るための戦術です。

長期在庫感を残さず、想定売却価格よりも少し高め位に設定すれば、必ず引き合いがあります

引き合いがあれば、場合によっては2組、3組と案内が入って競合する可能性が増えます。

競合すると、場合によっては3組とも満額(=売り出し価格通り)で購入申し込みが入ることもあり得ますし、ど

うしても欲しい買主は「買い上がり」と言って、提示価格よりも上の金額で他の2組を出し抜こうとすることもあります。

このように、期間は概ね3か月の媒介契約中に売り切る事を考えた方が高く売るチャンスもあるわけです。

状況判断と素早い価格変更がマンション売却の行方を決める


マンション売却の売主であれば、最初はちょっと高めでチャレンジしたい気持ちもあると思います。

先程の例で言うと、4,300万はチャレンジし過ぎですが、3,900万位であれば、売主のご意向なので、私は一定期間の条件付きなら引き受けます。

大切なのはその後です。

反響があったのであれば、もうしばらく続けたいと思うでしょうが、全く反応がなく経過した場合はどうでしょうか?

この時は躊躇わずにすぐ価格変更を行うべきです。

業者に任せてありますから、担当者と相談の上、変更価格を決めて下さい。

こうしたこまめな状況判断と価格変更がマンション売却の行方を左右します。

ここで、マンション売買のプロである「リノベーション業者」の対応をお話します。

業者は「事業」ですから、安く仕入れて、リフォーム後に売り出します。

つまり「買主」「売主」両方の立場でもあるのが「リノベーション業者」です。

リノベーション業者の価格設定はプロの私から見ても絶妙のバランス感覚を感じます。

更に特筆すべきは価格変更の素早さです。

反響がなければ、躊躇せず直ちに価格変更して売却を図ります。

業者の詳しい話は別の機会にお話しますが、「リノベーション業者」の価格設定と、価格変更の仕方は

一般の売主の手本になるプロの売却テクニックだと言えます。

このように、引き合いがなければ価格変更を速やかに行う事はマンション売却にとって重要なポイントです。

物件が動く時期に売却を開始して適正な価格設定と速やかな価格変更が大切


今回はマンション売却の時期や期間についてお話をしましたが、

特に需要が高まる1月中旬以降3月末までの時期に売却活動を開始することが最も望ましく、

価格設定は極端に高い設定をせず、想定売却価格よりも少し高めで買主の目を引き、

3か月以内に売却を済ませることが結果的に高めに売れるチャンスを得られます。

引き合いがなければ状況を見て、3か月の媒介契約満了を待たず、速やかな価格変更が重要になります。

著者:神林勝利
不動産鑑定士_神林さん
不動産鑑定士・宅建取引士。1966年生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。野村不動産(株)流通営業部(現・野村不動産アーバンネット株式会社)のリテール向け売買仲介営業マンから不動産鑑定士に転身。独立後約10年間法人経営者として宅建業・鑑定業を営む。法人の営業譲渡後「神林不動産鑑定士事務所」代表として執筆活動や不動産コンサルタントを行っている。