不動産投資は公務員でもできる副業の一つである


公務員や一般のサラリーマンも「副業禁止」が規定されているのが常識です。特に公務員は市民の税金からお給料を貰う立場なので更に厳しい規定が課されています。

では公務員の方が不動産投資をすることはできないのか?
今回は公務員が不動産投資を行う場合についてお話します。

公務員の副業禁止規定とは


「公務員」と一括りにして呼んでいますが「国家公務員」「地方公務員」に分かれます。それぞれ「国家公務員法」「地方公務員法」という法律によって自らの立場や振る舞いも縛られている立場です。原則的に両者ともに副業を禁止する規定があるのです。

・国家公務員一般職(国家公務員法第103条)
・地方公務員一般職(地方公務員法第38条)

では不動産投資などできないのではないか?

実は「副業」とみなされる範囲外であれば不動産投資も可能です。

「副業」に当たらないケースはどのような場合なのか

原則として公務員の副業は禁止されていますが、副業に該当する場合が以下のように定められています。

 (1)不動産の賃貸が次のいずれかに該当する場合
  イ 独立家屋の賃貸については、独立家屋の数が5棟以上であること。
  ロ 独立家屋以外の建物の賃貸については、貸与することができる独立的に区画された一の部分の数が10室以上であること。
  ハ 土地の賃貸については、賃貸契約の件数が10件以上であること。
  ニ 賃貸に係る不動産が劇場、映画館、ゴルフ練習場等の娯楽集会、遊技等のための設備を設けたものであること。
  ホ 賃貸に係る建物が旅館、ホテル等特定の業務の用に供するものであること。
 (2)駐車場の賃貸が次のいずれかに該当する場合
  イ 建築物である駐車場又は機械設備を設けた駐車場であること。
  ロ 駐車台数が10台以上であること。
 (3)不動産又は駐車場の賃貸に係る賃貸料収入の額(これらを併せて行っている場合には、これらの賃貸に係る賃貸料収入の額の合計額)が年額500万円以上である場合
 (4)(1)又は(2)に掲げる不動産等の賃貸と同様の事情にあると認められる場合

(人事院規則14―8(営利企業の役員等との兼業)の運用について 最終改正:平成26年9月30日職審―295)

条文をそのまま読むと難しいので簡単に纏めます。

・独立家屋の数5棟以上(一棟マンション・アパート、一戸建賃貸も含めて5棟以上有すると副業となる)
・区分された独立の部屋が10室以上ある場合(一棟アパート・マンションの場合10室以上あると副業となる。)
・建築物である駐車場又は機械設備を付けた駐車場(機械式・自走式の立体的な駐車場は副業とみなされる)
・駐車台数10台以上(駐車台数が10台から副業とみなされる)
・賃料収入の合計額が500万円以上である場合(500万以上の賃料収入があると副業認定される)

不動産投資以外の項目は省略しますが、上記の定義をひっくり返すとこうなります。

・戸建・一棟アパート・マンションの棟数が4棟以下ならOK
・9室以下の一棟アパート・マンションならOK
・平置き駐車場の駐車台数が9台以下ならOK
・賃料収入の合計額(複数所有する場合は全部の合計額)が499万以下ならOK

ということになるのです。

ちなみに「以上」「以下」と「超」「~を超える」の区別はできていますか?

「以下」「以上」の場合、例えば「10戸以上」であれば「10戸」も入ります。

「10戸を超える」「10戸超」であれば「11から」ですので注意して読み込んで下さい。

※但し、実際に副業に該当しないかどうか社会保険労務士等、労務の専門家に確認して下さい。

このように、一定規模までであれば公務員も隠れることなく堂々と不動産投資ができるわけです。

※但し職場への届け出など、しっかり報告しておかないと懲罰の対象となるので十分ご注意下さい。

管理業務を委託しないと副業認定される


戸数などの規定の他に自ら管理業務を行うと副業と認定されます。管理業務は専門の不動産業者に委託しなければなりません。

つまり自分で管理行為を行うと「大家さん」ですから「賃貸業」を営むことになるため副業とみなされることになるわけです。

公務員は金融機関から絶大な信用を受けている「与信」の王者


不動産投資に限らず住宅ローンも同様ですが、お金を貸して金利を付した額を返済してもらう金融機関にとって、公務員は「一流企業」と呼ばれる民間企業よりも手堅い、超・優良の顧客です。

住宅ローンやアパートローンなどの融資の申し込みがあった時、「与信」を掛けるといって申込者の属性や年齢、年収などを仮申し込みすると、公務員は金融機関、具体的には銀行から優遇されます。

何故でしょうか?

役所は倒産しないからです。

更に、何か不祥事を起こして懲戒免職にならない限り長期にわたり安定的な返済が望めます。

この点、外資系企業の年収1,000万円超の高額所得者は、景気減速で外資が日本から撤退したり、経営破綻するリスクがあるため銀行も年収的には当然受けがいいものの、リストラのリスクも含めてある意味「構え」ます。

一般企業よりも金融機関の「与信」で公務員は「王者」だと言うのは極端でしょうか?

このように民間企業よりも銀行が信用してくれるため、融資を受けやすいと言う事が言えるのです。

公務員にお勧めの不動産投資とは何があるか


銀行から融資を受けやすい信用力のある公務員ですが、あくまで「副業」とみなされない範囲でなければ不動産投資はできません。

「要件を超える場合、許可をとればいい」と書かれた記事を多く目にします。

決してウソではありませんし、規模を拡大したら公務員を退職して専業大家として独立する気があればそうすることも反対はしません。

しかし独身の若い方ならイケイケでもまだいいかもしれませんが、奥さんや子供がいる公務員の方であれば将来懲罰で離職するハメになった場合、お子さん達の学費負担を大学まで払えなくなります。

それどころか一旦公務員の立場から放り出されると営業経験のない立場で転職も限定されます。最悪の場合、一家離散するケースも実際に見てきました。

副業に当たらないケースを紹介しましたが、大前提として、公務員の方が不動産投資を行う場合、管理業務を委託しなければなりませんので、物件のことは委託する不動産業者に丸投げになります。

悪い業者はこの点を上手く利用して公務員を食い物にしようとたくらんでいます。

ゆえに管理は全て委託するとしても、不動産投資の勉強はしっかりとしておく必要があります。

私が公務員の方にお勧めする不動産投資は以下のような小規模物件です。

・戸数9戸以下の一棟アパート・マンション
・地方都市にある価格が100万円台のボロ戸建を3万、4万で貸す
・中古ワンルームマンション投資(新築は絶対にやめましょう)

公務員という立場から生活保護者や高齢者を相手にした築古の一棟アパートは金額も安く、生活保護費から家賃を払うため賃料の滞納リスクが低めです。(リスクがなくなることはありません)

中古のワンルームマンションは一定の空室リスクを見込んだ余裕が必要なので、入居者が退去すると次の入居者が決まるまでの間、収入が途絶えます。その意味で「丁半博打」と呼ぶ業界人もいます。

不動産投資の世界は「ワンルームがお勧め」「いや、一棟でなければ危険」と様々な投資理論が展開され、こうした記事を読む側も一体どれが正しいのか?分からなくなると思います。

それゆえに公務員の方が始める不動産投資の一歩は、小規模かつ金額の低い物件で、イザというとき売却処分の容易なものから始めるのが最善の策だと思います。

公務員だからこそ不動産投資の勉強はしっかり行ってください


公務員の方が不労所得を得る方法として不動産投資が紹介されていますが、決して不動産業者と銀行に利用されるのではなく、利用せねばなりません。

そのためには不動産投資について勉強すべきです。「不動産」に「投資」する以上、「不動産」の特徴や投資の「リスク」についてまず勉強しなければなりません。

著者:神林勝利
不動産鑑定士_神林さん
不動産鑑定士・宅建取引士。1966年生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。野村不動産(株)流通営業部(現・野村不動産アーバンネット株式会社)のリテール向け売買仲介営業マンから不動産鑑定士に転身。独立後約10年間法人経営者として宅建業・鑑定業を営む。法人の営業譲渡後「神林不動産鑑定士事務所」代表として執筆活動や不動産コンサルタントを行っている。